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鹽竈神社・鹿島神宮・香取神宮との繋がり 海をゆく”御船祭”の共通点

御朱印帳がきっかけで神社へより興味を

私はもともと、地元の宮城県塩竃市にある鹽竈神社には、年始の参拝はほぼ毎年欠かさず行っていました。また、桜や紅葉の時期にも訪れることもあり、最近では夏になると甥っ子と一緒にクワガタやカブトムシを採るために境内を訪れることもあります。

多くの人にとってもそうであるように、私にとっても神社、特に地元の鹽竈神社は暮らしの中で、自然と関わりのある場所の一つです。

それが最近、御朱印帳を手に入れたことで、以前にも増して地元に限らず、神社そのものに参拝する機会が増え、そしてそのご由緒にもより興味を持つようになりました。

格式高い「神宮」の称号を持つ古社

そんな中で、最近訪れたのが茨城県の鹿島神宮と千葉県の香取神宮です。

これらの神社は茨城県の息栖神社とあわせて「東国三社」とよばれ、江戸時代の人々が伊勢参拝の帰りに参拝したそうで、今でもこの3社を結んだエリアは、パワーポットとしても人気なのだそうです。

この鹿島神宮と香取神宮ですが、伊勢神宮と同じ「神宮」の名が付いていますね。
延長5年(927年)にまとめられたとされる、全国の神社一覧が載っている『延喜式神名帳』によると、こちらに記載された神社の中で「神宮」つく神社は、もともと伊勢神宮のほかに、鹿島神宮と香取神宮の3社だけだったそう。

古くから篤い信仰を集めていた格式高い神社であることが伺えます。

発見した歴史の繋がり 鹽竈神社と鹿島神宮・香取神宮との意外な関係

そんな鹿島神宮と香取神宮ですが、今回訪れてみて、実は私の地元の鹽竈神社とも深いつながりがあることが分かり、なんとも不思議な気持ちになりました。今回の神社めぐりで分かったことについて、私なりに残しておきたいと思います。

鹽竈神社の御祭神

まず、鹽竈神社について少し紹介します。

鹽竈神社には別宮と左右宮があり、別宮には塩づくりを塩釜の地に伝えたとされる鹽土老翁神が祀られています。鹽土老翁神は、神武天皇に東によい国があると進言をし、それが神武東征につながったと言われています。

そして左右宮、左宮には武甕槌神、右宮には経津主神が祀られています。どちらの神も、日本の国造りに大きな影響を与えた重要な神です。

写真左側が左宮・右宮の社殿、右が別宮です

共通する御祭神 国譲りの神々

左右宮に祀られている武甕槌神と経津主神は、出雲の国譲りを成した神として有名です。

天照大御神の命を受けたこの二神が出雲へ向かい、国津神である大国主が支配していた葦原中津国を天津神へ譲ることを認めさせました。まさに日本の歴史における重要な転換点を担った神です。

鹽土老翁神とともに、日本建国の重要な役割を担った神様を祀っているのが鹽竈神社なのです。そして、この武甕槌神は鹿島神宮の御祭神、香取神宮の御祭神は経津主神であることが分かりました。

鹿嶋神宮
香取神宮 社殿は修繕中でした。2025年9月に完成予定とのこと

御船祭という共通点の発見|海を渡る神輿の壮大な祭典

日本の神社は、それぞれ分祀されているため、遠く離れた地で同じ神様を祀っていることは決して珍しくはありません。

ですので、鹿島神宮・香取神宮で祀られている神様が、鹽竈神社の御祭神であることも、取り立てて紹介することでもないのですが、私が見つけたもう一つのつながりは、それぞれの神社で行われる「御船祭」です。

鹽竈神社「みなと祭り」 現代に受け継がれる海上渡御の壮美

鹽竈神社では毎年夏、海の日に合わせて「みなと祭り」が開催されます。それは、お神輿が神社から港まで練り歩き、船に乗って船で塩釜の島々を渡り歩く、海上渡御をする壮大なお祭り。

大漁旗を掲げた多くの漁船を引き連れ、お神輿を乗せた船が海を渡る姿は圧巻で、地元民としてはぜひ多くの人に見てもらいたい素晴らしい祭祀です。
詳しくは、こちらの記事でまとめているので気になる方はぜひ併せて読んでみてください。

日本は、いわずもがな四方を海に囲まれているので、ほかにも神奈川県の足柄下郡真鶴町で行われる貴船(きぶね)まつりや、広島県厳島神社の管弦祭などがあります。また、それぞれの様子も、塩釜の港まつりとは異なります。それに、塩釜のこのみなと祭り自体は、戦後に地元の復興を願って始まったものなので、歴史としては比較的新しいものです。

しかし、塩竃で行われるこのみなと祭りのような、御船祭が壮大に海上渡御を行うようなお祭りは日本全国を見ても、鹽竈神社だけだと思っていました。

鹿島神宮の御船祭 12年に一度の龍船が舞う

ところが今回、鹿島神宮と香取神宮を訪れて分かったのは、この2つの神社でもお神輿を船に乗せて海上を渡る御船祭を行っていたということ。しかも、その様子が鹽竈神社が行っているものと非常に似ていたのです!

真ん中に移っている、龍の頭を持つ船、分かりますか? 塩釜で行われるみなと祭りで使われる船にそっくりなんです。

塩竃のみなと祭りでお神輿が乗る 龍鳳丸

みなと祭りでは、2隻の御座船が使用されます。そのうちの一つが龍をモチーフにした龍鳳丸。鹿島神宮での上記の看板を見たとき、塩釜と似たようなお祭りがあること、そしてそれに用いられる船がそっくりなことにびっくりしました。

鹿島神宮の御船祭りは12年に一度、午年の9月に行われるそうです。次回は令和8年(2026年)の9月で、そのための準備が進んでいるようでした。

その御船祭りの様子はこちらで確認できます: https://kashimajingu.jp/feature/%E5%BE%A1%E8%88%B9%E7%A5%AD/

この御船祭は、明治15年(1882年)に始まったもので、神功皇后が三韓征伐の際、鹿島大神が皇船を守護し、皇后の軍威を助けたということに感謝するためのお祭りだそうです。

香取神宮の御船祭|800年続く鳳凰船の伝統

続いて訪れた香取神宮でも、御船祭が来年執り行われることを知りました。約800年前から、香取神宮でも12年に一度、午年に御船祭が執り行われているそうで、次の開催は鹿島神宮と同じ令和8年(2026年)、時期は少し早い4月なのだそうです。

引用:https://katori-jingu.or.jp/about/history/

こちらが、香取神宮の鳳凰をかたどった御座船。そして以下が、塩釜のみなと祭りで使用される鳳凰の御座船です!

細かい色彩などは異なるものの、鳳凰を冠していることは同じです。

鹿嶋神宮、香取神宮、それぞれの神社で、お神輿を乗せる御座船は1隻ずつのようですが、鹿島神宮は龍、香取神宮では鳳凰。そして塩釜のみなと祭りでは、海上渡御に2つの御座船を使用します。それが写真のとおり、龍と鳳凰なのです。

三つの神社を結ぶ御座船 龍と鳳凰が揃う鹽竈神社のみなと祭り

御船祭が始まったのは鹽竈神社が最も最近なので、影響を受けたといえばそれまでですが、鹽竈神社の創建自体は、いつか分からないほど古いものです。

そのような古くからある神社の御祭神が、二つの神宮で祀られている神様と同じであること、そして、それらの神社が行う御船祭の様子と非常に似ている祭典を、遠く離れた東北の港町でも執り行っていることに、歴史のロマンを感じました。

今年の「みなと祭り」と来年への期待|神社めぐりの新たな楽しみ

令和7年(2025年)の「みなと祭り」は、いよいよ明日開催されます!多くの皆さんに、塩釜市へ足を運んでいただけたらと思います。

そして来年はぜひ、4月と9月の香取神宮、そして鹿島神宮の12年に一度の御船祭にも行ってみてはどうでしょうか。私はぜひ、見てみたいなと思っています!

次の神社参拝は、どこに行こうかな。そしてどんな歴史の不思議が待っているでしょうか。御朱印帳を手に、新たな神社めぐりの旅が楽しみです!

もし、今回の記事で私の地元、塩釜のみなと祭りに興味を持っていただけたら、こちらの記事も見ていただけたら幸いです。

日本三大船祭り の一つ! 一度は見てほしい「塩竈みなと祭」

では、ここまでお読みいただきありがとうございました!

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